特集 精神疾患への在宅支援
「協働」で取り組む精神疾患への在宅支援
遠藤 真史
1
1特定非営利活動法人那須フロンティア地域生活支援センターゆずり葉
pp.117-121
発行日 2017年2月15日
Published Date 2017/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200540
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
精神科医療保健福祉では,長期入院患者の退院意欲の促進,意思表明,決定支援,住まいの問題(保証人がいないなど),高齢障害者,保護者の高齢化,家がゴミだらけになって近隣に迷惑をかけているケース,障害者雇用など,単体の事業所や支援者では対応できない多様なニーズがあるために,「協働」がキーワードになってくる。「協働」とは地域の課題解決に向けて,行政単独では解決できない,または市民だけでは解決できない問題に対して,お互いの不足を補い合い,目標や課題を共有しながら,協力して課題解決に向けた取り組みを行うことを言う。筆者の所属する特定非営利活動法人那須フロンティア(以下,那須フロンティア)では地域課題や多様なニーズに対して,さまざまな機関や地域住民と協働関係を築き,生活に必要なまちの中のあらゆる場所に出向き,お互いに顔が見える支援を心がけている。対象者の自宅,近所,精神科病院(病棟,デイケア),県,市町行政(福祉関係のみならず,農観商工関係も含む),保健所,ハローワーク,福祉サービス事業所,商店街,企業,不動産屋など,対象者のニーズに応じて協働支援を展開する。本稿では,地域住民やさまざまな機関と一緒に取り組む那須フロンティアでの実践を振り返り,「協働」をキーワードに,精神疾患への在宅支援について考えていきたい。
Copyright © 2017, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.