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近代外科手術におけるアプローチ補助としては,双眼ルーペによる拡大鏡手術に始まり,手術顕微鏡,内視鏡,そして最近では外視鏡が登場し,術者の方針・好みによって使い分けがされているのが現状である.それぞれに独自の発展があり,ほかと比較した場合の利点・欠点がある.手術顕微鏡においては,光学性能および操作性の向上だけでなく,蛍光観察技術を含めた高精細・多機能型の手術映像装置として進化している.内視鏡の利点は何といっても低侵襲性であり,内視鏡特有のパノラマビューに慣れた術者にとっては快適な術野を提供してくれる.最近に登場した外視鏡は高画質・3D機能を備えたビデオカメラシステムであり,従来の顕微鏡とは異なる自由度の高い視軸を得ることが可能である.特殊なメガネをかけることで術野を立体的に見ることが可能となるため,多人数での画像共有が可能となり,教育的効果も期待できる.今回の特集では,「脊椎脊髄手術における内視鏡・外視鏡・顕微鏡の利点・欠点」と題して,第一線の経験豊富な先生方に,それぞれの実際を解説いただき,読者の皆さんが誌上で比較検討できるように企画した.
顕微鏡手術については,内藤堅太郎先生からは蛍光観察技術による血流評価,遠藤俊毅先生からは蛍光観察技術による腫瘍可視化,青山正寛先生からはaugmented reality技術の活用について解説いただいた.内視鏡手術については,辛 正廣先生から頭蓋頸椎移行部病変に対する経鼻的内視鏡手術について,南出晃人先生からは頸椎後方除圧,中川幸洋先生からは腰椎後方除圧,西村泰彦先生からは腰椎固定術への応用について解説いただいた.外視鏡手術については,池田直廉先生から基本特性を,安原隆雄先生から脊椎脊髄手術での使用実際を解説いただいた.いずれも大変読み応えのなる内容となっており,経験の多い方・少ない方,いずれにとっても学ぶことが大いにあろうかと思われる.本特集が読者の皆さんにとって脊椎脊髄手術における技術革新に触れるきっかけとなり,さらに脊椎脊髄手術の新しい展開につながることを願っている.
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