Japanese
English
特集 脊椎・脊髄感染症の診断と治療—最近の知見
脊髄感染症の診断と治療
Diagnosis and Treatments of Spinal Cord Infections
林 史恵
1
,
安藤 哲朗
1
,
福武 敏夫
1
Fumie HAYASHI
1
,
Tetsuo ANDO
1
,
Toshio FUKUTAKE
1
1亀田総合病院脳神経内科
1Department of Neurology, Kameda Medical Center
キーワード:
感染性脊髄炎
,
infectious myelitis
,
水痘・帯状疱疹ウイルス
,
varicella zoster virus
,
エンテロウイルス
,
enterovirus
Keyword:
感染性脊髄炎
,
infectious myelitis
,
水痘・帯状疱疹ウイルス
,
varicella zoster virus
,
エンテロウイルス
,
enterovirus
pp.169-176
発行日 2022年8月9日
Published Date 2022/8/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201816
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はじめに
脊髄に神経障害をきたす脊髄症(myelopathy)のうち,炎症の機序によるものを脊髄炎(myelitis)という.脊髄炎の原因は,表 1に示すように,感染性(ウイルス性,細菌性,真菌性,寄生虫性など),脱髄性(視神経脊髄炎スペクトラム,acute disseminated encephalomyelitis(ADEM),myelin-oligodendrocyte glycoprotein(MOG)抗体関連疾患,多発性硬化症など),自己免疫性,傍腫瘍性,感染後性など多岐にわたる11).それぞれの鑑別は,発症様式(図 1),症状の時間経過(経過が単相性か再発寛解型か,症状はある程度回復するか否か,表 2),MRI所見などをもとに行う6,13).本稿では,これら脊髄炎の鑑別疾患のうち,感染性のものについて概説する.
感染性脊髄炎を疑う臨床所見として,発熱,錯乱状態,髄膜刺激徴候,皮疹,リンパ節腫脹などが挙げられる(表 3)5).また,免疫不全状態を示唆する既往歴があるかを聴取することも重要である.
感染性脊髄炎は,発症様式で分けると急性と慢性に分類される.急性脊髄炎を起こし得る感染性病原体の一覧を表 4に示す.感染性脊髄炎は原因の同定が困難なことも多い.慢性進行性のものとしてはHIV,HTLV-1関連ミエロパチー(HAM),梅毒などが挙げられる.これらの疾患のうち,比較的頻度が高い疾患や,最近のコロナ禍で新たに遭遇するようになった疾患について述べる.
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