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特集 脊椎・脊髄感染症の診断と治療—最近の知見
結核性脊椎炎の診断と治療—化膿性脊椎炎との違いを中心に
Diagnosis and Treatment of Tuberculous Spondylitis: Focusing on the Differences from Pyogenic Spondylitis
山根 淳一
1
Junichi YAMANE
1
1けいゆう病院整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Keiyu Hospital
キーワード:
脊椎カリエス
,
spinal caries
,
抗結核薬治療
,
anti-tuberculosis drug therapy
,
脊椎前方固定術
,
anterior spinal fusion
Keyword:
脊椎カリエス
,
spinal caries
,
抗結核薬治療
,
anti-tuberculosis drug therapy
,
脊椎前方固定術
,
anterior spinal fusion
pp.161-168
発行日 2022年8月9日
Published Date 2022/8/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201814
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はじめに
かつては日本の死因の第1位であった結核も,戦後1950年代に入ると公衆衛生の改善とストレプトマイシン(SM)の開発により急激に減少した.その後も徐々に発症率は減少したものの,現在でも毎年2,000人程度が死亡している重要な感染症である.厚生労働省の結核登録者情報調査年報8)によれば,2020年の結核新規登録者は12,739人,罹患率は(人口10万人対)10.1で,2010年の23,261人,18.2と比較すると新型コロナウイルス感染症による生活様式の変化や受診抑制などの影響を考慮したとしても漸減している.海外の罹患率との比較としては,先進諸国は米国3,カナダ5,ドイツ5.8,オーストラリア6.9,英国8であり,東・東南アジア諸国はシンガポール41,中国58,韓国59,タイ150,インドネシア312,ミャンマー322,フィリピン554とやはり東南アジアの罹患率が高い.
骨関節結核は肺結核からの結核菌の血行性播種により引き起こされるものがほとんどで,脊椎,股関節,膝関節が侵されやすい.結核新規登録者数のうち約1.5%が骨関節結核で,さらにその半数以上が結核性脊椎炎である2,6,10,16).比較的まれな疾患であるものの現在でも重要な脊椎感染症であり,きちんとした知識や治療法を身につけておく必要がある.
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