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はじめに
近年,高齢化社会に伴い成人脊柱変形(adult spinal deformity:ASD)患者が増加し,脊柱変形手術の割合が増加している.ASDに対する安全・確実な手術法の導入は,高齢者のQOLを大きく改善し得る.しかし,その病態や複雑な手術手技,さらには併存症などの患者背景から,成人脊柱変形矯正手術における合併症発生率は,特発性側弯症(adolescent idiopathic scoliosis:AIS)患者に比べ高いことが報告されている1).合併症の中でも,インプラント関連の合併症はASD矯正手術後最大27.8%に発生すると報告されている1,3,11,13).このうち,ロッド折損は最も多い合併症である7,9,12,17).術後の矯正損失や骨癒合不全を引き起こし,しばしば再手術を要するため13),ASD矯正手術において克服すべき重要課題の1つである.
AISをはじめとする脊柱変形に対する矯正手術は,脊柱変形を3次元的に矯正することを目的とする.ロッド形状は術後の脊柱配列を規定する重要な因子であるが10,14),ストレート形状ロッドに対する曲げ加工は術者の経験や勘に左右されるといった課題があった.脊柱の変形の程度は患者により異なるため,ロッドの曲げ加工が患者形状に適合しない場合,十分な矯正を得ることはできない.さらに,曲げ加工時にロッドに生じるノッチが,ロッドの力学特性を低下させて,術後の矯正損失やロッド折損につながる危険性が指摘されている2,5,8).
これらの課題に対する解決策として,術中のロッド曲げ形成が不要となる,脊柱変形矯正手術に使用可能なプリベントロッドの有用性が考えられた.患者脊柱に適合性の高いプリベントロッドの実用化により,適切な3次元的脊柱変形矯正が可能となるだけでなく,術後の矯正損失やロッド折損といった重大な術後合併症を軽減し得る可能性がある.
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