頸椎部前縦靭帯骨化による嚥下障害と頸部可動域制限

Cervical Range of Motion Contributes to Dysphagia in Anterior Cervical Hyperostosis

はじめに

　びまん性特発性骨増殖症（diffuse idiopathic skeletal hyperostosis：DISH）はForestierら^3）やResnickら^14）により報告された疾患である．骨化の特徴の1つとして，連続する前縦靭帯骨化（ossification of the anterior longitudinal ligament：OALL）が挙げられている．60歳以上の9.1〜16.9％にDISH病変が認められ^8），またDISH症例の中で0.1〜6％に嚥下障害を呈すると報告されている^2,7）．骨化による器質的な食道圧排以外の病態はまだ明らかとされていないが，頸椎部OALLを認める症例の中には嚥下困難を認めない，または軽度な症例も存在する．強直頸椎が病態の本疾患において，頸椎可動域制限が嚥下困難の病態の1つであることが示唆され^6），臨床像，画像所見と合わせて述べる．