Japanese
English
特集 脊髄再生
亜急性期脊髄損傷に対する骨髄間葉系幹細胞移植
Intravenous Administration of Mesenchymal Stem Cells for Sub-acute Spinal Cord Injury
森田 智慶
1
,
佐々木 祐典
2
,
本望 修
2
,
山下 敏彦
1
Tomonori MORITA
1
,
Masanori SASAKI
2
,
Osamu HONMOU
2
,
Toshihiko YAMASHITA
1
1札幌医科大学医学部整形外科学講座
2札幌医科大学医学部附属フロンティア医学研究所神経再生医療学部門
1Department of Orthopaedic Surgery, Sapporo Medical University School of Medicine
キーワード:
脊髄損傷
,
spinal cord injury
,
間葉系幹細胞
,
mesenchymal stem cell
,
再生医療
,
regenerative medicine
Keyword:
脊髄損傷
,
spinal cord injury
,
間葉系幹細胞
,
mesenchymal stem cell
,
再生医療
,
regenerative medicine
pp.553-556
発行日 2018年6月25日
Published Date 2018/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200894
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はじめに
脊髄損傷は,直達外力による脊髄組織の圧挫である一次損傷と,それに続発する出血・浮腫・炎症などの生物学的反応による壊死や損傷神経線維の脱髄・軸索損傷といった二次損傷が関与すると考えられている.これまでの脊髄損傷治療は,手術やステロイド大量投与療法といった二次損傷の抑止と,リハビリテーションが主体であった.しかし,ステロイド大量投与療法の治療効果やその副作用について懐疑的な意見が散見されるようになり,2013年の米国脊髄損傷治療ガイドラインにおいて「推奨しない」と明記された2).損傷した脊髄そのものに対する,安全かつ有効性の高い治療法はいまだ確立しておらず,その開発が切望されている.
われわれは1990年代より,脊髄損傷の実験的動物モデルを用いて,各種幹細胞をドナーとした再生医療研究を精力的に行ってきた.中でも,骨髄間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell:MSC)の有用性・実用性の高さに着目し,これまで脊髄損傷を含む神経損傷動物モデルを用いた多くの基礎研究を実施し,良好な機能回復が得られたことを報告してきた4〜6).これらに基づき,札幌医科大学では脊髄損傷患者に対する自家MSCの経静脈的移植療法の医師主導治験を薬機法下で開始し,再生医療等製品としての薬事承認を目指している.
本稿では,われわれがこれまでに行ってきた脊髄損傷動物モデルに対するMSCを用いた再生医療研究の知見と,本学で実施した亜急性期脊髄損傷患者に対する自家MSC移植療法の医師主導治験について概説する.
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