Japanese
English
特集 脊椎・脊髄MRIのピットフォール—アーチファクトと偶発所見
腰椎・腰髄MRIのピットフォール
The Pearls and Pitfalls of Lumbar Spine MRI
山本 麻子
1
,
住田 薫
1
,
野崎 栄作
1
,
松田 めぐみ
1
,
豊田 圭子
1
,
大場 洋
1
Asako YAMAMOTO
1
,
Kaoru SUMIDA
1
,
Eisaku NOZAKI
1
,
Megumi MATSUDA
1
,
Keiko TOYODA
1
,
Hiroshi OHBA
1
1帝京大学医学部放射線科学講座
1Department of Radiology, Teikyo University School of Medicine
キーワード:
後腹膜(retroperitoneum)
,
膵癌(pancreatic cancer)
,
腸腰筋膿瘍(iliopsoas muscle abscess)
Keyword:
後腹膜(retroperitoneum)
,
膵癌(pancreatic cancer)
,
腸腰筋膿瘍(iliopsoas muscle abscess)
pp.843-847
発行日 2017年9月25日
Published Date 2017/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200708
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はじめに
脊椎の撮影ではspinal coilを用いるため,コイルは背側のみに設置され,体幹腹側の信号情報は乏しい.さらに,自由呼吸下での撮影による腹腔内臓器を主体としたmotion artifactおよびそれを抑制するためのsignal saturation bandの使用による信号低下も加わり,腹腔内の情報を得ることは難しい(意図されていない).しかし,脊椎外の偶発所見の指摘率は腰椎MRIの68.6%にも及ぶとの報告があり,実臨床においても腎囊胞や子宮筋腫などの良性病変を認める頻度は高く,新規悪性腫瘍も0.5%に上る5,6).特に後腹膜臓器については,固定性が高いこと,水平断像および主としてlocalizerにおける冠状断像撮影により実は体幹背側の広範囲がカバーされているため,ときとして痛恨の見落としとなる腰痛/背部痛の原因となる後腹膜病変の情報が含まれていることがある.本稿では,腎臓,副腎,膵臓,脾臓,腸腰筋病変が腰椎MRIにて発見された症例を提示し,異常に気づくためのポイントや限界について解説するとともに,正常後腹膜臓器の信号や位置の確認を行う.
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