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特集 高齢者の脊柱変形Up to Date
第1章 疫学・症候
脊柱後弯を伴う高齢者の腰背筋筋活動と頸部筋活動への応用
Surface Electromyography in Paraspinal Muscle of Elderly Patients with Kyphotic Deformity and Future Application for Neck Muscle Activity
榎本 光裕
1,2
,
小柳津 卓哉
1
,
大路 駿介
2
,
猪瀬 弘之
3
,
吉井 俊貴
3
,
大川 淳
3
Mitsuhiro ENOMOTO
1,2
,
Takuya OYAIZU
1
,
Shunsuke OJI
2
,
Hiroyuki INOSE
3
,
Toshitaka YOSHII
3
,
Atsushi OKAWA
3
1東京医科歯科大学医学部附属病院高気圧治療部
2東京医科歯科大学医学部附属病院スポーツ医学診療センター
3東京医科歯科大学大学院整形外科学分野
1Hyperbaric Medical Center, Medical Hospital, Tokyo Medical and Dental University
キーワード:
後弯変形(kyphotic deformity)
,
表面筋電図(surface electromyography)
,
傍脊柱筋(paraspinal muscle)
Keyword:
後弯変形(kyphotic deformity)
,
表面筋電図(surface electromyography)
,
傍脊柱筋(paraspinal muscle)
pp.301-307
発行日 2017年4月25日
Published Date 2017/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200594
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はじめに
脊柱後弯は,骨粗鬆症を基盤に発生する老人性亀背や椎間板の変性や背筋不全のため正常な前弯が失われた結果生じる.最近では,成人脊柱変形(adult spinal deformity:ASD)の概念が導入され,健康寿命延伸のためにも脊柱変形に対する適切な診断と治療が重要となっている9,12,14).高齢者に対する大規模な運動器検診調査では,X線による矢状面アライメントと健康関連QOLに関連を認めており18),幸福な老い(サクセスフル・エイジング)を実現するためにも,姿勢悪化に対してX線以外にも適切な評価方法が必要となる.
後弯症の発症機序は,椎体圧迫や椎間板変性が挙げられるが,最も直接的な原因は傍脊柱筋の萎縮である17).われわれは,2008年から腰椎変性後弯症(lumbar degenerative kyphosis:LDK)患者の腰背筋筋活動に注目し,筋活動を皮膚上から比較的簡便に記録できる表面筋電計を用いて記録してきた.最近では,小型・軽量のコードレス電極も販売されており,計測が容易となっている.
本稿では,当整形外科教室で行われたデータをもとに脊椎後弯変形を有する患者の表面筋電計を用いた腰背筋筋活動の特徴と有用性について解説し,頸部周囲筋活動への応用にも言及する.
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