Japanese
English
特集 「偽性局在徴候」からみた脊髄・馬尾・神経根症状
下垂足を主訴とした脳・脊髄疾患
Brain and Spinal Disorders which Caused Drop Foot Symptoms
中西 欣弥
1
,
渡邉 啓
1
,
片岡 和夫
1
Kinya NAKANISHI
1
,
Akira WATANABE
1
,
Kazuo KATAOKA
1
1近畿大学医学部奈良病院脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Nara Hospital Kinki University Faculty of Medicine
キーワード:
下垂足(drop foot)
,
偽性局在徴候(pseudolocalizing sign)
,
脳・脊髄疾患(brain and spinal disorders)
Keyword:
下垂足(drop foot)
,
偽性局在徴候(pseudolocalizing sign)
,
脳・脊髄疾患(brain and spinal disorders)
pp.199-203
発行日 2015年3月25日
Published Date 2015/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200049
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
足関節の背屈は,主として深腓骨神経により支配される前脛骨筋によって行われ,本筋の麻痺により下垂足を呈する.深腓骨神経は主にL4,5脊髄節により支配されている.したがって,下垂足の原因として腓骨神経障害や腰椎疾患がまず一番に推定される.ただし,Greenberg7)の教科書にも記載されているように,脳・脊髄疾患でもまれながら下垂足を生じる.これら偽性局在徴候といえる脳・脊髄疾患による下垂足は,正確な診断が下されるまで数年の期間を要することが多く,下垂足の治療において,この罹病期間の長さが改善率低下の要因となる.十分な神経学の知識をもっても診断がきわめて困難なものもあるが,詳細な問診や神経学的所見から偽性局在徴候を見極め,早期に下垂足の責任病巣を診断することが重要となる(表1).
本稿では,脳・脊髄疾患により主として下垂足の症状をきたした偽性局在徴候ともいえる症例を示し,各責任病巣での特徴と病態について概説する.
Copyright © 2015, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.