提言
Feasibility studyのすすめ
加藤 貴志
1
Takashi Kato
1
1井野辺病院
pp.94-95
発行日 2024年2月15日
Published Date 2024/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203672
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筆者が初めて日本作業療法学会で発表を行ってから今年で20年が経つ.そのときから今も同じ病院に勤務している.2000年(平成12年)当時は新築移転間もなく,病院全体を挙げてリハビリテーションについて学びはじめたときであり,最新の医療機器や解析装置はなかったが,研究を奨励する自由な雰囲気に満ちていた.これは井野邉純一病院長(当時副院長)の「最新のリハビリテーションを行うためには,常に自分自身が研究の中に身をおくべきだ」という信念によるもので,今もその空気は変わっていない.その中で働けたおかげで,自分も研究に取り組んでみたいと思うようになった.研究というと,高額な計測機器や統計解析が必要で,難しいイメージをもつ人も多いと思う.しかし,自分のアイデアを形にする自由度の高い研究手法もあり,その一つがFeasibility study(F/S)である.
F/Sは「実現可能性研究」とも訳される研究スタイルで,新しい訓練器具を開発した際や,これまでにない訓練方法を思いついたとき,院内での新しい取り組み等について臨床での利用可能性を研究するものである.F/Sの定まった定義はないが,「evaluating one's idea in order to complete a project successfully(プロジェクトを成功裏に完了するための一つのアイデアを評価すること)」1)や「Can it work?」と表現されることもある.要は自分のアイデアが担当患者の役に立つかどうか確かめる最初の一歩であり,「あっ,これいいかも?」,「こんな自助具があったらいいな」との閃きを形にする研究でもある.
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