視座
A Follow-up Study
井上 明生
1
1久留米大学整形外科
pp.229
発行日 1990年3月25日
Published Date 1990/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408900038
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「背信の科学者たち」(W. ブロード・N. ウェード著,牧野賢治訳,化学同人刊)を読んだ.科学者といわれる人たちの欺瞞に満ちた非科学的な仕事を列挙したものであるが,それが意識的になされた場合は犯罪である.
しかしながら,それがしばしば無意識になされていることがある.いろいろの例話がでている.ハーバード大学の心理学者ロバート・ローセンサルが一つの実験を行った.かれは心理学を専攻する学生たちに,二つのグループのネズミを研究用として与えた.一つは,迷路を走り抜けるための特別な訓練を受けた“迷路に明るいグループ”であり,一方は“迷路に暗いグループ”で生まれつきのろまなネズミであると告げられていた.こうして学生たちに二つのグループが迷路を走り抜ける能力実験が命ぜられた.その結果は,「迷路に明るいネズミ」が「迷路に暗いネズミ」よりも,はるかに速く走り抜けるのが確認された.
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