昭和の暮らし・第83回
昭和写真室:リヤカー
市橋 芳則
1
1北名古屋市歴史民俗資料館
pp.1388
発行日 2023年11月15日
Published Date 2023/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203611
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写真は,昭和30年(1955年)ごろの名古屋鉄道犬山線西春駅周辺の様子である.目を引くのはリヤカーの数々である.荷物はワラで編んだムシロを使って丁寧に梱包され,荒縄で縛られている.梱包されている品物は不明であるが,服装から季節は秋口,1つの梱包の大きさや,積み重ねても大丈夫な品物ということから推測すると,米など穀物の可能性が高い.
このころは自動車による輸送への過渡期で,トラックが普及しはじめているが,まだこうした人力による輸送も行われていた.また,穀類の包装には,以前は俵が使われていたが,このころはムシロを二つ折りにして縁を縫い閉じた「叺」という袋が用いられ,その後,麻袋が使われ,現在の紙袋やプラスチックフィルム袋に変化していった.おそらく写真の包装はこの「叺」であると思われる.
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