ビッグデータから見える健康の未来（2）

社会実装

　本拠点では，国内大手ヘルスケア企業を含む40以上の企業をはじめ，大学や国立研究開発法人を含め70以上の機関が参画して巨大コンソーシアムを形成しており，2021年（令和3年）9月現在，学内に15の共同研究講座を開設し，超多項目健康ビッグデータをベースに課題解決に向けて取り組んでいる．花王，味の素，ライオン，サントリー，明治安田生命等をはじめ，大手有力企業等の共同研究講座開設による大型研究開発投資導入に成功し，現在年間約3〜5億円の民間資金獲得を達成，強固な産学連携研究ネットワーク基盤を確立した（図 1）．参画企業同士がアンダーワンルーフのもと連携・融合（戦略的相互補完）した新事業や商品化の開発事例（新たな健康増進サービスや検査システム等）も多数創出され，地域中小企業と大手企業との戦略的アライアンスの推進により地域経済活性化や地方創生にも大きく貢献している．商品・サービス化の例に，冬季間の運動不足解消を目指したショッピングモールにおけるモールウォーキングの展開と健康ポイントの付与（イオン），「健康教育」プログラム開発（ベネッセ），5分で口腔健康の測定が可能な唾液検査システムSMT（ライオン），内臓脂肪測定による健康増進プログラム（花王），コンビニエンスストアでの減塩おにぎり・食物繊維豊富な総菜等の商品販売（ローソン），買い物データを携帯端末アプリで収集・分析し，食生活改善や健康指導につなげる購買情報ドリブン型新行動変容モデル「健やかショッピングサポート」（コープ共済連），腸内フローラのタイプ・特徴や腸内細菌の種類（多様性）等を知ることができる腸内フローラ解析サービス「腸内フローラチェックプレミアム」（テクノスルガ・ラボ，ミルテル）等々があり，広い業種・分野における多種多様なものとなっている．