提言
3人のお母さまから学ぶ,最期の時におけるOTの役割について—Good death(望ましい死)とはどういうことか
田尻 寿子
1
Hisako Tajiri
1
1静岡県立静岡がんセンター
pp.108-109
発行日 2022年2月15日
Published Date 2022/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202864
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はじめに
人生の折り返し地点をとうに過ぎてしまったと気がついた昨今,「そろそろ“人生の後半をどう生ききるか?”ということを考えなくてはいけない!」と思う.がしかし,日々の業務をこなすことにジタバタして,疲れ果てて眠ってしまう日々を過ごしているのも現状である.
「死を意識して生を大切に生ききる」ことに関しては,私がお会いした患者さんやご家族等から大いに学ばせていただいている.「命には限りがある」ことに気がついた20代男性は,「小さい会社だけれど自分の夢だった仕事を思いっきりやりたい」と転職され,生きがいをもって存命の日々を過ごされた.「ライフサイクルと悲衰の仕事」というテーマで,在りし日にOT学会でもご講演いただきました小此木啓吾氏(1930-2003)は,ご自身の闘病生活の中で実に多くの著作を遺されているそうだ1).
日ごろの臨床の中において,死期を意識された方々に対し「OTとしてどのように支援させていただくか?」に関しては,試行錯誤の日々である.
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