あなたにとって作業療法とは何ですか?・第55回
あなたにとって作業療法とは何ですか?
遠藤 真史
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1NPO法人那須フロンティア 地域生活支援センターゆずり葉
pp.645
発行日 2019年7月15日
Published Date 2019/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201747
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一喜一憂しすぎず どんな状況でも内包してくれる
私には何か得意のもの,胸を張れるもの,知識も技術もない.とにかく自信がない.そんな私は地域住民に対して,障害や病気の有無に関係なく,OTとして相談支援業務をしている.相談に来られる方は,問題を解決したく,答えを求めており,私は自信がないなりに,家族のあり方,暮らし方,生き方を一緒に考えている.そんな私の自信のなさは時折,利用者さんに対して,褒めすぎたり,支援をしすぎたり,時には一緒に落ち込んだりすることがある.ある利用者からは「一喜一憂しないでくださいな,人生いろいろあるのですから」とも.
「一喜一憂しない」となると,つまらない人間だな,情もないのかと言われそうだが,どこか多様性を受け止めるには必要な心構えなのかもしれない.さまざまなライフステージで出会ういろいろな考え,態度,感情,生き方への生活支援を経験させていただいている私が,今のところ考えている作業療法とは,「一喜一憂しすぎずに,内包してくれる存在」といったところである.それがOTとして地域生活支援を行う私を支えてくれる言葉になっている.
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