あなたにとって作業療法とは何ですか？

その人らしく生きる力を支援する

　私にとって作業療法とは，その人らしく生きる力を支援することだと思います．私は，日々，リンパ浮腫診療に取り組んでいますが，そのきっかけは，終末期のリンパ浮腫の患者さまとの出会いでした．当時，知識がない中，浮腫の悪化に苦しむ患者さまに作業療法を行いましたが，一向に改善せず，浮腫の苦痛に悩まれながらお亡くなりになられました．その経験は，私にとって衝撃であり，同じような患者さまを担当する際に，少しでもスキルアップしていたいと強く願い，ドイツでリンパ浮腫治療を学びました．リンパ浮腫は，いったん発症してしまうと残念ながら完治することはなく，徐々に太くなる患肢とともに日常生活を送らなければならず，生活障害に加え，ボディイメージの変化にも悩まされます．そのような中で，ADLやQOLに加え，心理面も含めた包括的な介入ができる作業療法士は，この領域で力を発揮できる職種であると自負し，やりがいを感じながら日々臨床を行っています．作業療法士がリンパ浮腫患者さまをいかに支援できるか，その人らしい生活を取り戻す支援していけるかが大切ではないかと思います．