あなたにとって作業療法とは何ですか?・第52回
あなたにとって作業療法とは何ですか?
福田 卓民
1
1青梅慶友病院
pp.375
発行日 2019年4月15日
Published Date 2019/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201664
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すべてを活動ととらえる
動くことは“活動”,眠ることも“活動”,そして何もしないことも“活動”.作業療法は,24時間を構成するすべてを“活動”ととらえることと私は考えています.いわゆる“寝たきり”の高齢者を前に何もできなかった若いころの経験から,そう思うようになりました.
たとえ“寝たきり”でも,知覚はさまざまな情報をつかみ,心理状態はそれに合わせて変化していると考えられます.また,動くことを前提とした身体の各部,たとえば筋や関節等は,動かないことに対してSOSを発し,私たちはそれを見逃しているのかもしれません.見た目にまったく動いていない方が対象であっても,日中の過ごし方の一つひとつを活動ととらえ,少しでも動きを引き出す.それが無理なら環境に変化をもたせる.そうすることで,対象者の主観的な快・不快は変化し,外から見た客観的な適・不適も異なるように思います.そんな考えのもと,当院の作業療法部門は“寝たきり”の方への試みを続けています.
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