増刊号 実践に役立つ! 生活行為向上マネジメント
第2章 疾患別実践例
15 —廃用症候群—グラウンド・ゴルフを通じて自信を回復し地域活動に参加できるようになった通所リハの事例
上田 章弘
1
Akihiro Ueda
1
1介護老人保健施設 恵泉
pp.878-882
発行日 2016年7月20日
Published Date 2016/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200666
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はじめに:事例紹介
今回,腸閉塞で入院し,寝たきりにより廃用性筋力低下をきたし活動性が低下した事例を担当した.生活行為向上マネジメント(以下,MTDLP)を活用し,多職種協働でのストレングスアプローチや体力の向上を目的とした介入,グラウンド・ゴルフの仲間への環境調整等を行った.その結果,目標としたグラウンド・ゴルフの再開や習慣的に行っていた喫茶店通い等,地域活動へ再び参加することができるようになったため報告する.
A氏,70代男性,要介護2.農家の三男として誕生.夜間高校中退後は,兄の家に居候していた.22歳のころ建設会社で働きはじめ,24歳で結婚.会社では現場監督を任され,仕事に明け暮れた.酒が好きで,休日には昼間から飲むことも度々であった.唯一の趣味はボーリングである.60歳で冠動脈バイパス術を施行された.61歳で妻の介護を理由に会社を退職するも,翌年妻が他界.その後グラウンド・ゴルフや地域のボランティア活動に参加する等,積極的に活動していた.週に5日行きつけの喫茶店に通われ,常連客と1時間程度世間話をすることが楽しみであった.71歳のときに2度目のバイパス術を施行したが,術中に脳梗塞を発症.8カ月間の入院を経て状態が安定し,自宅復帰した.体力向上目的で当デイケアを利用し順調に状態は回復していたが,腸閉塞にて40日間の入院となった.20日間寝たきり状態が続き,7〜8kg体重が減少し,廃用性の筋力低下により活動性が一気に低下した.
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