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Key Questions
Q1:今後,考慮すべき対象者は?
Q2:食事過程において最もリスクが高い期とその機能は?
Q3:吸気と呼気ではどちらが嚥下にとっては重要か?
はじめに
日本において一部の有識者が集まり,摂食嚥下リハについて討論を始めたのが1990年代初頭である.その後1997年(平成9年)に「言語聴覚士法」が成立して,嚥下訓練という具体的業務内容が法律の中に盛り込まれた.「言語聴覚士法」の成立以前は,OTは重要な臨床業務の一つとして,食事に問題を抱える人への評価やアプローチを行っていた.しかし,「言語聴覚士法」の成立以後は,チームアプローチの名のもと,食事の問題に関する多くの役割をSTに譲渡したかたちで現在に至っている.
食事の問題に限らず,さまざまな障害への評価やアプローチは,職種間で役割が重複することは多い.しかしその役割の多さを理由に,食事の問題について意識下にも存在しなくなってきたことはいかがなものであろうか.食べる喜びの継続のために長年かかわってきた先輩OTの1人として,食事にもっと関心を寄せてほしいと願うところである.
時代がどんなに変わろうとも,食事は人にとって基本的欲求を満たすものであり,生活の質の維持には欠かせないものである.障害を有しその障害が重症であればあるだけ,障害者にとって食事の意義は絶大的なものである.さらに近年は高齢化を反映して,予防的な観点より食事に関与する機能の変化を,早期より経時的にとらえ対応しようとする動きもみられる.
食事は,訓練としての動機づけに困ることもなく,動作としての自立度も高いことから,OTは日々の臨床において注視することなく見過ごしてきた活動の一つではないかと思われる.本稿では,日々の生活において安全で質の高い食事を継続するために,OTが有していなければならない基礎知識と評価法ならびにリスクについて概説する.
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