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Key Questions
Q1:就労支援としての居住環境への支援とは?
Q2:エンパワメントする環境への支援とは?
Q3:散らかった居住環境への支援とは?
はじめに
地域生活を送るうえで,環境は重要な因子の一つである.生活機能と環境は相互作用するものとしてとらえられ,保健・医療・福祉・教育・行政等,すべての職域,領域を超えて,環境をアセスメントすることなしに地域支援の展開はなし得ない.相良1)は,障害をもつ人の地域生活において,住宅を中心とする住環境整備は重要な要素であるとしている.また佐々木2)は,アフォーダンスについて,“「環境が動物に提供するもの,用意したり備えたりするもの」であり,それはぼくらを取り囲んでいるところに潜んでいる意味である”としている.つまり環境とは自らを取り巻く周辺のことだけではなく,相互に影響し合うものであり,地域支援を行ううえで,環境要因をとらえることは欠かすことのできない重要なものである.
筆者が所属する那須フロンティアは,1999年(平成11年)10月に設立され,「メンタルヘルスを中心とした豊かなまちづくりへの寄与」を目的に,精神障害者の地域生活支援に関する事業を行い,彼らが地域で生き生きと暮らせるような活動を提案していくとともに,地域におけるメンタルヘルスの問題に取り組むことを試みてきた.就労支援事業所喫茶店ホリデー(以下,ホリデー)は,那須フロンティア設立と同時に運営を始め,約15年経過している.現在は,障害者総合支援法の就労移行支援事業を施設基準とし,通所者の目指す就労生活の実現に向けて支援を展開している.
今回,散らかった居住に在住しながらホリデーを通所利用し,就職を実現した1人の対象者について報告する.支援の中では,居住環境への直接的なアプローチではなく,就労支援を通して対象者自身が環境改善へ取り組み,結果として症状の安定をもたらした.
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