特集 母と子をまもる保健婦
家族のなかの子供
子供と住居地
柏熊 岬二
1
1大正大学
pp.104-108
発行日 1959年5月10日
Published Date 1959/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201876
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I.問題の整理
原稿を書き始めようとして,あらためて与えられた題目を見たのであるが,どうも頭の中に筋書きが浮んでこない.なぜかというと,本誌の読者はおそらく保健婦さんだけに限定されるのであろうが,それとテーマがうまく結びつかないのである.保健婦—子供—住居地と並べてみると.それぞれが関連がありそうでいて,全体を通すとちぐはぐになつてしまう.つまり,保健婦と子供,保健婦と住居地(地区),子供と住居地ということなら,比較的まとまつた形で筋立てすることが可能であるが,いずれをも含んだ三題噺を作ろうとすると,少しぐらい頭をひねつたのでは間に合わないし,それに予定された少ない紙数ではまず無理であろう.
そこで,三題噺をやめて,二題噺にすることにした.では,どの2つを選ぶかということになるが,読む人が保健婦さんであり,公衆衛生の専門家なのであるから,3つのうちの保健婦なる部分を削るのが最も妥当であるということになろう.つまり,この小稿では主題を保健婦活動なり,公衆衛生なりと一応切離し,子供と住居地の問題だけに限ろうというのである.したがつて,衛生の問題とどのように結びつけて解釈するか,そしてどう利用するかという点は読者が自由に,それぞれの立場から考えて頂きたい.いわば読む方の側で三題噺を仕上げて欲しいのである.
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