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特集 作業療法における作品づくりの意味
作品づくりがもたらす影響―老人保健施設での実例を通して
Effects of creating artworks at a long-term care facility
橋本 浩三
1
1介護老人保健施設 加西白寿苑
pp.114-117
発行日 2013年2月15日
Published Date 2013/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100032
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Key Questions
Q1:作業療法における作品づくりの意味とは?
Q2:作品づくりがもたらす本人・他利用者・家族・ケアスタッフへの影響とは?
Q3:作品づくりの効果的な提供方法とは?
はじめに
作業療法における作業の意義は,①障害軽減の手段,②技能獲得の目標,③よりよい作業体験としての実存である1).「作品づくり」を用いた身体障害領域の作業療法場面では,麻痺側手指の巧緻性改善を目的としたぬり絵や注意持続性向上を目的に編み物を行う等,身体・認知機能の改善を目的として,障害軽減の手段として作品づくりを使用する場合が多い.しかし,実際に作品づくりを行うと,利用者の笑顔が増加することや生活に張りが出る等といった身体・認知機能の改善以外の反応がみられることを臨床上多く経験し,よりよい作業体験として意義を感じることも多い.本来,健常者が行う作品づくりとは,たとえば誰かにプレゼントするために作製したり,自己の趣味のため等の作業的意味をもって作製する場合がほとんどであると考える.加西白寿苑(以下当苑)では,そういった作品づくりの作業的意味を考えて,その方に合わせたものを提供している.また,その作品づくりを通じて,他利用者・家族・ケアスタッフ等への関わりも行っている.
そこで今回は,よりよい作業体験として提供した作品づくりが与える影響を,①本人,②他利用者,③家族・ケアスタッフの視点に分けて,当苑の臨床で行われている実例を交えて紹介する.
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