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編集後記
伊熊 健一郎
pp.360
発行日 2004年6月15日
Published Date 2004/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426900512
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このところ,内視鏡下手術に関連した残念な報道があちらこちらで散見されております.産婦人科領域におきましても決して例外ではありません.私は腹腔鏡下手術を開始して13年が経過しました.その間に行った婦人科疾患に対する腹腔鏡下手術の2,804件に対し,合併症は26件(0.93%:2003年12月31日の時点)ありました.一方,開院来20年間で行った開腹手術では1,505件中の3件(0.20%)でした.腹腔鏡下手術は従来法の開腹手術と比べると合併症が5倍という高頻度で起きております.しかし,このことは腹腔鏡下手術を1,000件以上経験しているような施設では同様の傾向にあるようです.手術は安全でなければなりませんが,起きた事態の把握と最善の対処をいかにするかが大切です.それによって何としても不幸な医療事故を回避しなければなりません.
報道のあり方にも少なからず疑問もありますが,実際に起きている医療事故の現実を目の当たりして,一般の人々に「腹腔鏡下手術は危険な手術である」との印象を持たせているのではないかと危惧しております.特に問題がなければ,この手術方法は患者にはきわめてメリットの大きな治療方法です.本当は多くの患者が腹腔鏡下手術によって従来法の手術にはなかった様々な恩恵にあずかっています.私自身も6年前に腹腔鏡下手術による胆嚢摘出術を実際に体験し実感しております.
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