手術テクニック
肺門部血管の露出と処理
淺村 尚生
1
1国立がんセンター中央病院呼吸器外科
pp.305-308
発行日 1998年8月15日
Published Date 1998/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4425900213
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胸腔鏡下肺葉切除術(video-assisted lob-ectomy)は開発途上の技術であり,したがって術式としての評価も確定しておらず,適応についても議論が多いとことろである.すなわち,“標準的な”手技や手順も未だ存在していないと考えてよい.胸腔鏡下肺葉切除術は,通常1つの小開胸創(“mini-thoracotomy”,“utility thoracotomy”)と2〜3か所のポートによって行われる.肺門に対する操作は主としてこの小開胸創から行われるので,固定された肺門へのアプローチは小開胸創からのほぼ1つの方向に限定されると考えてよい.また,小開胸創から行える手術器具の動きにも当然大きな可動制限が存在する.肋骨を開排して肋間腔を開大することは通常行わないので,肋骨の走行方向には器械はかなり自由に動きうるが,これと直交する頭尾側方向には,鉗子の先端を開くといったごく単純な動作も困難である.
胸腔鏡下肺葉切除術の施行については,これらの制約を前提として手順,方法を組み立てなければならない.その中でも,肺門部の処理は最も技術的に困難な部分である.ここでは,肺門部の血管処理は,気管支の処理と独立して論じることができないので,気管支の処理についても併せて記載する.
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