連載 中毒 事件簿・File 6
胃腸炎か…と思ったら!?失敗に終わった臨床中毒学専門家の企て
千葉 拓世
1
1国際医療福祉大学医学部 救急医学講座
pp.756-759
発行日 2024年11月25日
Published Date 2024/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3105200168
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薬物を用いた完全犯罪は可能?
「中毒を専門にしています」と言うと,いつも聞かれる定番の質問があります。①「自分が死ぬならどの薬を選びますか?(苦しまずに死ねますか?)」と,②「どの薬なら足が付かずに人を殺すことができますか?」の2つです。
ボストンの中毒センターで勤務していたときにも話題になったことがありましたが,①の質問に対して多かった答えはオピオイドでした。確かにオピオイドなら,意識が朦朧として呼吸抑制されてあまり苦しまない気がします。緩和ケアにもオピオイドは欠かせない薬物ですから,悪くない選択のようです。スイスで行われる安楽死ではバルビツレートも使用されており1),バルビツレート系の鎮静薬も苦しむことが少ないと思います。やはり人生の最後に,苦しいとか,ゲェゲェ嘔吐を繰り返すとかはなんとか避けたいものです。
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