別冊秋号 透析と麻酔
PART3 透析患者の合併症と周術期の対処
23 透析による生理的変化—栄養面を中心に
加藤 明彦
1
1浜松医科大学医学部附属病院 血液浄化療法部
pp.177-183
発行日 2023年9月20日
Published Date 2023/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200375
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透析治療が必要な末期腎不全患者は,血管石灰化を伴う動脈硬化,認知機能低下,免疫機能低下などの生理的変化が進行している。その背景には,栄養障害,サルコペニア,フレイルなどがある。透析患者の多くが高齢であることに,食事摂取不足や透析排液からの栄養素の喪失,慢性炎症による異化亢進,身体活動量の低下などが加わり,栄養障害,サルコペニア,フレイルを高率に合併する(図1)。これらは日常生活活動度(ADL)や生活の質(QOL)を低下させるのみならず,心血管病の発症・進展,転倒・骨折,肺炎などの感染症,入院,生命予後などの重大なアウトカムとも関連する。そのため,透析患者の麻酔管理では術前に低栄養,サルコペニア,フレイルを評価することは重要となる。
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