別冊春号 2022のシェヘラザードたち
第23夜 科学的根拠と現状のギャップの克服—私の主観的体験:術後痛
ハシチウォヴィッチ トマシュ
1
1東京慈恵会医科大学附属第三病院 麻酔部
pp.127-133
発行日 2022年4月15日
Published Date 2022/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200278
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上司に頼まれるとなかなか「No」とは言いづらいものだ。私もご多分に洩れず,頼まれると引き受け,なんとなく継続していた。術後痛管理チーム(APS)のメンバーになるように頼まれた時も同じだった。格別に興味があったわけでもなく,そのチーム運営の効果についてもよく知らないまま受けた。マニュアルどおり毎日病棟に行き,IV-PCAで管理されている患者と話して記録する。たまにPCAポンプの不具合を直し,ボタンは遠慮せずに押すように患者に説明し,看護師と話す。そうすることが「患者の術後痛の軽減」につながる,と思っていた。そんな感じでたまたまAPSメンバーになったわけだが,それは予測外の展開をもたらした。「自分の分野」を見つけ「新しい」ことを導入し,自分でも何かできると信じ,小さいことを実行できた時の達成感,そして「存在感」も味わえたのだ。
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