別冊秋号 周術期管理
PART2 術前合併症アップデート
20 Fontan後患者
木島 康文
1
,
藤田 信子
2
1聖路加国際病院 循環器内科
2聖路加国際病院 麻酔科
pp.125-131
発行日 2020年9月15日
Published Date 2020/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200161
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近年の術式の改善,周術期管理の進歩によりFontan後患者の多くが成人に達し,彼らが虫垂炎,胆囊炎,整形外科的手術など成人早期にみられる準緊急の非心臓手術を要する機会が増加している。Fontan後患者が非心臓手術を施行する場合,経験のある施設での麻酔および手術による死亡率は決して高くないことが報告されており,心臓麻酔科医による麻酔管理が望ましいとされている1)。これは陽圧換気や気腹による心拍出量の低下,空気塞栓予防のため静脈路にエアフィルターを用いる必要性,症例ごとのベースラインの中心静脈圧や末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)の確認,解剖学的構造と循環動態の理解など,Fontan循環の理解を要するためである。予定手術であれば成人先天性心疾患を多く診ている専門施設への紹介を考慮すべきである。しかしFontan後患者とは無縁の病院に勤めているあなたにも,彼らが突然救急外来を受診し緊急手術を依頼される可能性は大いにある。
本稿では,Fontan後患者の非心臓手術が突然依頼された際に役立つ術前評価のポイントについて解説する。
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