別冊秋号 血圧
11 臓器から見る血圧—腸管,肝臓
垣花 泰之
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1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 救急・集中治療医学分野
pp.71-75
発行日 2019年9月14日
Published Date 2019/9/14
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200088
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血圧は,心臓の収縮と血管の緊張(弾性)により血管内に作られる圧力であり,心拍出量と末梢血管抵抗の積として表わされる。つまり,血液の流れが循環動態を決定する第一因子であり,血圧は心拍出量と末梢血管抵抗の関係で二次的に決まる因子である。一方,臓器に関していえば,臓器血流と末梢血管抵抗により組織の灌流圧が決定され,灌流圧が極端に低下すると,組織の灌流が途絶するが,これが組織循環の臨界閉鎖圧である。腹腔内臓器は,脳や心臓などと比較すると臨界閉鎖圧が高いため,血圧が低下すると比較的早期に組織の灌流が途絶する。
本稿では,腹腔内臓器の中でも,腸管と肝臓に焦点を当て,血圧と組織循環の調節メカニズムを概説するとともに,微小循環が破綻した状態における腸管循環と臓器障害連関のメカニズムに関しても解説する。
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