焦点
PSWとしてでなく「ただの私」として訪問するようになってわかったこと
鈴木 英里香
1
1布袋病院
pp.58-59
発行日 2012年3月15日
Published Date 2012/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100996
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訪問看護には魔力があるらしい
大学4年の実習中、偶然にも訪問看護に同行したことがきっかけで、私は訪問看護に興味を持ち始めました。その実習先が現在の職場です。ただ、入職後は訪問看護に配属希望を出す余裕もなく、院内の業務をこなしていくのがやっとでした。そんな中でも、訪問先から病院に戻った先輩方の会話に聞き耳を立てていることがバレたのか、半年に1回ほどのペースで訪問に同行させてもらえるようになりました。そしてそこで、衝撃の体験をしたのです。
半年前に訪問したある男性は、うつむきながら症状や就職の悩みを語り、とてもつらそうな表情でした。半年後、再びその方のお宅に訪問したところ、背筋の伸びた姿勢で、「今お茶出しますね~」と笑顔で迎えてくれたのです。物事を前向きに捉え、自分の思いをしっかりと言葉に乗せて話をするその方がいました。もちろん、今考えれば「訪問看護は本人の力を引き出すきっかけを与えただけ」ということがわかるのですが、このときは「訪問看護には何か魔力があるらしい!」と思ったのを覚えています。
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