特集 STI/HIV
はじめに|STI/HIVは,ある日突然,あなたを訪れる—より身近に感じるための1冊
織田 錬太郎
1
Rentaro ODA
1
1東京都立多摩総合医療センター 感染症内科
pp.817-819
発行日 2024年10月1日
Published Date 2024/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901205
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STI/HIVを身近に感じることができていますか?
とらえにくい実態,過小評価されている可能性
性感染症sexually transmitted infection(STI)は,性活動性のある集団においてはコモンディジーズであるにもかかわらず,その多様な疾患とそれぞれの臨床像の影響からか,コモンディジーズとして確実に拾い上げられているとはいいにくく,過小評価されている可能性があります。そこには,医師の「専門外だから自分の前には来ないであろう」という認識の低さも影響していると感じます。我々感染症医のもとに紹介されて来る症例のなかには,複数の病院や診療科を受診してからやっと診断されていたり,診断ができずに紹介されたのちに当科で診断される症例も少なくありません。
日本でも近年では特に梅毒の増加が大きな問題になっており,年間届出数は2010年の621例から,2022年では13,258例と,10年ちょっとで何と約20倍の増加がみられています1,2)。これらはあくまでも届出をされた数なので,実際には氷山の一角である可能性があります。ある日突然,自分の前に患者が訪れても不思議ではない状況となっています。
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