特集 膠原病2
2.全身性エリテマトーデス(SLE):分類基準の変遷とANA negative SLE—「分類基準」の限界を把握し,病態の本質を意識する
小澤 廣記
1
Hiroki OZAWA
1
1聖路加国際病院 Immuno-Rheumatology Center
pp.17-30
発行日 2021年7月29日
Published Date 2021/7/29
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900859
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全身性エリテマトーデス(SLE*1)は,全身の臓器が対象となる自己免疫疾患である。厚生労働省によると,指定難病としてのSLEの医療扶助申請者は国内で約6万人1),推定有病率は10万人当たり30〜50人(0.03〜0.05%)とされている。男女比は1:9,発症ピークは20〜30代で,妊娠可能年齢の若年女性に多い2)。他疾患と比較すると,関節リウマチ(RA)は患者数が60〜100万人で,有病率は0.6〜1.0%3),Sjögren症候群は患者数が68,483人で有病率は0.05%4)であり,SLEはこれらの疾患に次ぐ患者数である。膠原病のなかではまれではなく,実臨床ではよく鑑別に挙がる疾患の1つである。
抗核抗体(ANA)検査の感度は約98%と高いが,ANAが陰性となる症例(ANA negative SLE)も少数ながら存在し,診断困難となるケースも多い。
本稿では,まずSLEの歴史に触れ,診断の一助となる分類基準の変遷を追う。また,最新の2019年EULAR/ACR分類基準では,ANA検査80倍以上が必須項目となったが,その理由やANA検査の種類や限界についても扱い,最後にANA negative SLEとの向き合い方について考察する。
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