特集 老年科
【退院後のケアと予防】
15.Transition of care—医療のバトンをしっかりと次の医療従事者に渡すために
齊木 好美
1
,
小松 裕和
2
Yoshimi SAIKI
1
,
Hirokazu KOMATSU
2
1練馬光が丘病院 総合診療科
2佐久総合病院 地域ケア科
pp.789-800
発行日 2017年12月1日
Published Date 2017/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900495
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患者にとって必要な,医療によるケアがうまく引き継がれなければ,本来ならば防ぎ得る再入院や有害事象が発生しかねない。本稿では,急性期管理中に整えた医療によるケアを退院後も継続していくにあたり,病棟医として何が重要なのかを述べる。
まず,この章を理解するにあたって,「Transition of care」という概念を理解していただきたい。Transition of careは,AGS*1において「患者が異なる施設へ移動する,もしくは同施設内でも医療レベルが変わる際に,医療によるケアの調整および継続性が保証されるために必要な行動」と定義されている1)。入退院はもちろんのこと,集中治療室から一般病棟への転棟,介護施設への入所など,患者自身の医療を受ける環境が変化する際に,医療のバトンが適切に渡せるように配慮することである。
ここでは,Transition of careのなかでも急性期病院からの退院にフォーカスをあて,どのような知識をもち,何に注意して,急性期病院の主治医としてかかわるべきかについて述べる。
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