特集 膠原病
【各論】
【コラム】内分泌疾患と関節症状—糖尿病,甲状腺機能障害,副甲状腺機能障害と関連し得る筋骨格系症状
宮本 真由子
1
,
萩野 昇
2
Mayuko MIYAMOTO
1
,
Noboru HAGINO
2
1多摩北部医療センター 消化器内科
2帝京大学ちば総合医療センター 内科
pp.541-545
発行日 2014年6月1日
Published Date 2014/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900377
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さまざまな筋骨格系症状を訴える患者がリウマチ科を受診する。患者が「膠原病・リウマチ性疾患」を有している,と決めつける前に,まずは他の内科系疾患(感染症,悪性腫瘍など)に起因する症状を疑い,これを除外することが診断の第1ステップである。
内分泌疾患は,発症当初やその経過でさまざまな筋骨格系症状をきたす。例えば,高齢者に多いとされるピロリン酸カルシウムcalcium pyrophosphate dihydrate(CPPD)沈着症は手関節や膝関節などの関節炎をきたすが,これらは関節リウマチによる滑膜炎の好発部位でもある。内分泌疾患に起因する筋骨格系症状,すなわち,甲状腺機能低下症が一見関節リウマチと区別がつかない手指の腫脹をきたし得ることや,糖尿病で好発する手指屈筋腱鞘炎が「手のこわばり」という「主訴」での来院につながることなどを知っておくと,膠原病・リウマチ性疾患の過剰診断を避けるうえで重要なポイントとなる。そして,適切な内分泌疾患のスクリーニングと診断,さらには予後の改善につながることが期待される。本稿では主に糖尿病,甲状腺機能障害,副甲状腺機能障害に着目し,解説する。
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