特集 災害とICU
Part 2.mass casualty incidentへの備え
2.重症熱傷患者対応とICU—国際的な連携も念頭におきながら熱傷診療を組み立てる
井上 貴昭
1
,
小倉 崇以
2,3
Yoshiaki INOUE
1
,
Takayuki OGURA
2,3
1筑波大学医学医療系 救急・集中治療医学
2済生会宇都宮病院 救急・集中治療科
3World Health Organization(WHO)Emergency Medical Team(EMT)Technical Working Group on Burns
pp.337-343
発行日 2020年4月1日
Published Date 2020/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200749
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■はじめに
日常生活と同様,災害・マスギャザリングにおいても,故意による放火や事故による爆発などで,熱傷による多数傷病者事故mass casualty incident(MCI)が発生するリスクがある。
熱傷の発症機序は,湯茶や温熱物との接触のほか,火災や感電事故による電撃傷,落雷による雷撃傷,酸・アルカリへの曝露,放射線被ばくなど,多岐にわたる。とりわけ各種災害・マスギャザリングでは,さまざまな受傷機転に伴い熱傷を負うリスクが十分に想定されるため,初期治療のあり方と専門医療機関への搬送基準,またICUにおける管理について,その対策をまとめておく必要がある。
本稿では,日本熱傷学会から報告された『2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けての救急・災害医療体制の構築に関する研究:重症熱傷診療に関する現状調査と熱傷初期診療に役立つ教育資材の開発』1)をもとに,熱傷MCIに対する対応・対策とICU・救命救急センターに求められる管理と戦略について述べる。
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