特集 中毒
Part 2 診断と治療のアプローチ
3.排泄促進のエビデンス—強制利尿,血液浄化法,尿のアルカリ化
村田 真理絵
1
,
末木 志奈
1
,
柴垣 有吾
1
Marie MURATA
1
,
Shina SUEKI
1
,
Yugo SHIBAGAKI
1
1聖マリアンナ医科大学 腎臓・高血圧内科
pp.589-598
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200418
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急性薬物中毒治療の4原則は,①全身管理,②吸収阻害,③排泄促進,④拮抗薬投与である。薬物の特性・患者の状態によって適切な治療選択が必要であり,本稿では排泄促進の方法としての,腎臓からの薬物除去(輸液負荷による強制利尿,尿アルカリ化),急性血液浄化による薬物除去について述べる。
Summary
●強制利尿の主な目的は,尿細管内の尿流量増加による尿細管での薬物の再吸収抑制であり,しばしば行われているにもかかわらず,有用性を示すエビデンスは少ない。また,多くが尿アルカリ化とセットで施行されている。
●尿アルカリ化の有効性に関するエビデンスが十分にあり,施行が検討され得るのはサリチル酸とフェノバルビタール中毒に限られる。
●中毒診療において,内科的な集学的治療を行っても症状が進行し重篤である場合は,血液浄化療法の開始を検討する。
●対象となる薬物の特徴(分子量,分布容積,タンパク結合率,脂溶性・水溶性)を理解したうえで,適切な血液浄化療法を選択する。
●中毒起因物質が不明の場合や臓器障害の有無によっては,より早期の血液浄化療法開始を検討する。
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