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誰しも,急性薬物中毒の患者を診察する際は,中毒を起こす摂取物を素早く同定して体外へ排出もしくは吸収を阻害し,できるだけ有毒物を体内に吸収させないようにしたいと考える。経口摂取したものについては,吸収されずに消化管内に残っていれば直接的に排除が可能である。方法としては,嘔吐(催吐),胃洗浄,腸洗浄が挙げられる。また,吸収阻害として活性炭の投与,排出促進として下剤が使用されているのが現状である。
消化管除染の方法自体は世界的にも知られていたが,1997年に初めて中毒に対する治療に関し,嘔吐(催吐),胃洗浄,活性炭の単回投与,瀉血,腸洗浄についてAmerican Academy of Clinical Toxicology(AACT)とEuropean Association of Poisons Centres and Clinical Toxicologists(EAPCCT)によって専門的なPosition statement1)が発表され,世界で中毒治療の標準化がはかられるようになった。さらに,1999年に活性炭の複数回投与についてのposition statementとガイドライン2)が(後述),2004年には尿のアルカリ化*1についてのposition paper3)が追加発表されている。
Summary
●中毒患者に対する消化管除染は,近年はあまり推奨されていない。
●global standardとしての胃洗浄,トコンシロップも,処置の件数は減少している。
●活性炭投与および腸洗浄については,排出まで時間がかかるような場合などは施行を考慮してもよい。
●各処置に際し,合併症などのリスクを十分検討し,適切な判断で行うことが望ましい。
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