特集 ICUエコー
Part 2 Intensivistに求められる超音波診断
腹部消化器系・尿路系
14.上腸間膜動脈などの血流評価
金田 智
1
Satoshi KANEDA
1
1東京都済生会中央病院 放射線科
pp.149-154
発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200362
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腹部領域の血流評価は,ほとんどが造影剤を用いたダイナミックCTとそのデータから血管系を再構成して表示したCTアンギオグラフィ(CTA)で行われ,超音波検査を追加して施行することはほとんどなくなっており,東京都済生会中央病院(以下,当院)でも同様の状況となっている。ダイナミックCTは,広範囲の腸管自体とその血流の両方を同時に評価することができ,また,腸管虚血以外の疾患の評価も十分に行えることから,腸管虚血を疑った場合には,第一に選択される検査となっている1)。しかし,ヨード造影剤アレルギーの症例などで造影剤が使用できない場合には,単純CTしか撮影できず,血流に関する情報はほとんど得られない。一方,超音波検査では造影剤を使用しなくても,カラードプラ法やパルスドプラ法を用いることにより,血流情報を得ることができる。このため,超音波検査でも,血流情報を評価できるように技術を身につけておくことは重要である。
Summary
●腹部領域の血流評価は,ほとんどがダイナミックCTで行われているのが現状である。
●腹部領域の血流評価には,カラードプラ法による観察とパルスドプラ法による血流波形や血流速度の確認が必要である。
●腸管虚血を示唆する所見は,粘膜下層の浮腫性肥厚であるが,その他の炎症,特にアレルギー性の浮腫性病変を鑑別しなくてはならない。
●腸管壊死を示唆する所見は,粘膜下層の強エコー(腸管気腫),筋層の菲薄化と粘膜皺壁の磨滅様所見,蠕動低下である。
●超音波検査による上腸間膜動脈の直接評価は動脈閉塞の診断には役立つが,非閉塞性腸間膜虚血の診断目的としては,必ずしも有用とはいえない。
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