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ACCM*1,ASHP*2,ACCP*3が,鎮痛と鎮静のガイドライン(以下,旧ガイドライン)1)を公表したのが2002年のことである。それから約10年が経過し,このガイドラインの改訂版と位置づけられる,疼痛pain,興奮agitation,譫妄delirium(これら3つのイニシャルをとって,以下PAD)管理のガイドライン(以下,新ガイドライン)2)が2013年はじめに公表された。新ガイドラインは,鎮痛・鎮静のガイドラインとは言わず,より実践的にPADという症候をマネジメントするためのガイドラインとされている。旧ガイドラインに比べて多くの新たな知見が加わったのみならず,専門司書による包括的な文献収集がなされ,作成プロセスも透明性や客観性を高める工夫が凝らされている。妥当なスケールを用いた痛み,鎮静レベル,譫妄の有無の日常的評価,鎮痛第一,浅い鎮静の重要性が説かれ,長いこと適切に理解や評価がなされてこなかった譫妄に対する理解の重要性が強調されている。
Summary
●エビデンスの格付けから,推奨の強弱に至るプロセスが,GRADEシステムという一定のルールに基づいて行われ,このガイドラインの信頼性を担保している。
●痛みの評価では, BPSとCPOTが,鎮静レベルの評価では, RASSとSASが,鎮静の有無の評価にはCAM-ICUとICDSCが現時点で最も妥当なスケールであると判断された。
●患者が痛がっていないかをまず確認,痛がっていたら,フェンタニルなどの静注用オピオイドを第一選択薬とし,鎮痛を行う。
●浅い鎮静のまま,鎮静薬を必要に応じて調節していくことを推奨。
●譫妄に対する理解は深まるが,譫妄のマネジメントにはもどかしさが残る。
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