連載 集中治療室目安箱:ナース/ME,私の言い分
第15回:看護師のノンテクニカルスキル:専門性の高い周術期における患者安全を促進する
榎本 晶
1
1東京ベイ・浦安市川医療センター 手術室
pp.666-670
発行日 2013年7月1日
Published Date 2013/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100575
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読者の皆さんは,“ノンテクニカルスキル”という言葉をご存じだろうか。現場で臨床指導をされている方々や,シミュレーション教育にかかわられている方々には,すでにご存じの方も多いだろう。日常生活では,例えば,伝えたはずのコミュニケーションが相手から戻ってこなかったために誤解を生んだ,疲労が蓄積した状態で車の運転をして,ヒヤッとなった,あるいは積雪のために車ではなく電車での通勤を選んだ,などの経験はないだろうか。ここでの「コミュニケーション」「疲労管理」「状況認識」が,技術を要さない「認知的・社会的スキル」,いわゆるノンテクニカルスキルという非専門技術である。
ノンテクニカルスキルは,「状況認識」「意思決定」「コミュニケーション」「チームワーク」「リーダーシップ」「ストレス管理」「疲労管理」の,技術を伴わない7つの非医療専門技術スキル1)からなる。これらのスキルの欠如により,どのような職種の分野においても,時には大きな事故をまねくことがある。
医療従事者である私たちが,普段からよりよい医療やケアを提供するにあたって,常に認識すべきことは患者安全である。医療事故は,すべて人間によって発生する。一方で,人間はそのエラーを重大な結果とならないように,最小限に食い止めることができる1)と考えられている。そのための技術の1つが,ノンテクニカルスキルであるといわれている。
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