FOCUS
臨床検査技師に求められるノンテクニカルスキル
辰巳 陽一
1,2
1近畿大学病院安全管理部
2近畿大学医学部血液・膠原病内科
pp.864-869
発行日 2021年8月1日
Published Date 2021/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208461
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臨床検査技師と医療チーム
医療は1人の医療者で成り立つものでなくチームとして協働しなければならないということは,もはやあらためて取り上げるほどのことではなく,“チーム医療”という言葉は,われわれ医療者には,外出の際にはマスクをしなければならないのと同様の“強制的”な常識といえるかもしれない.
ただ,チーム医療という言葉の響きからは多職種が協働して患者を救命する場面や救急医療現場や手術室のような切迫した場面が連想され,臨床検査技師の一部からは,直接患者と接触する機会が少ないため,チーム医療に参加しているという感覚は乏しいという意見を耳にする.しかし,いま,医療チームに臨床検査技師は欠くことはできず,簡単に思いつくだけで,栄養サポートチーム(nutrition support team:NST)での患者の検査値をもとにした病態評価やその説明をはじめとし,感染制御チーム(infection control team:ICT)での微生物検査結果についての資料作成や院内への情報発信,それ以外にも,呼吸器ケアチーム,糖尿病診療,血管診療チームなど,その活躍の場は多彩である.ただ,“多職種医療チーム”の概念は,必ずしも確立されているわけではなく,その認識も職種によって異なる.したがって,臨床検査技師として参加する医療チームのあるべきかたちを認識するとともに,チームにおいての行動規範を認識するのは意味があることではないだろうか.
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