特集 不整脈
5.心室性不整脈の管理
(1)心室性不整脈の治療総論―発生メカニズムと緊急性に応じた選択肢
齋藤 雄司
1
Yuji SAITO
1
1The State University of New York at Buffalo 循環器科
pp.797-801
発行日 2009年10月1日
Published Date 2009/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100121
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心室は血流を作り出すエンジンであり,その機能不全は生命の危険へ直結する。心機能不全は,①ポンプの不調(心不全),②調律の不調(心室性不整脈),③その混合状態,に大別できる。特発性心筋症や心筋梗塞後の心不全は「ポンプの不調」,QT延長症候群やBrugada症候群は「調律の不調」,心室性不整脈を伴う心不全は「その混合状態」である。本稿では,②の心室性不整脈の治療に焦点をあてるが,心室性不整脈がなぜ危険なのかといえば,心臓のポンプ機能に重篤な悪影響を及ぼすためである。極端な話,たとえ心室性不整脈が持続していても,ポンプ機能(心拍出量)に影響が出なければ,人間は通常通りに活動できるのである。しかし,実際には,不整脈(インプットとしての電気信号)とポンプ機能(アウトプットとしての機械的収縮)は密接に関連しており,ポンプ機能を改善するために不整脈治療は不可欠である。以下,まず心室性不整脈治療概念のいくつかに簡単に触れ,次に個別の治療法について述べる。
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