徹底分析シリーズ 脳死ドナーの臓器提供のプロセスと管理—麻酔科医にできること
脳死下臓器提供も見据えた急性期重症患者の管理—摘出術までをいかに過ごすか
小原 隆史
1
,
塚原 紘平
1
Takafumi OBARA
1
,
Kohei TSUKAHARA
1
1岡山大学病院 救命救急科
pp.958-964
発行日 2024年10月1日
Published Date 2024/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101203060
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2010年の改正臓器移植法の施行以降,2023年10月には脳死下の臓器提供数は累積1000件に達した。コロナ禍で一時的に低迷したものの,現在は以前の年間提供数を超え,今も増加し続けている。一方,意思表示カードなどで意思表示を行っている人は国民の10%前後であり,国民世論調査で「脳死であれば臓器提供をしてもよい」と回答した39.5%(令和3年)とは大きな乖離がある1)。つまり,終末期において医療者が患者の意思を確認しないと,提供の意思をもつ人を見逃してしまう可能性がある。実際に日本移植学会が発行するファクトブック2)によると,医療者が家族に確認して臓器提供に至ったケースは6割にのぼる。人生の最終段階に至った患者の権利を守るためには,医療側からの呼びかけが重要となる。
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