症例ライブラリー 緩和と手術が重なるとき
巻頭言
大畑 めぐみ
1
1東京科学大学病院 麻酔・蘇生・ペインクリニック科
pp.927
発行日 2024年10月1日
Published Date 2024/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101203049
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- 文献概要
周術期管理の安全性は増し,併存疾患を多く抱えた患者でも手術を受けられるようになっている。そのため,慢性疾患の治療中に手術を受ける患者は増えている。また,緩和医療は終末期に限定せずに必要なものという認識が広まり,提供体制が整えられつつある今,緩和医療を受けている患者が手術を受けることもある。緩和医療を受けている患者の周術期には,手術治療のゴールを設定しシームレスに慢性期治療へとつなげる必要がある。ところが,業務の細分化が進むなかで,慢性疾患の治療中に手術が必要になるような状況においては,術後の全身管理や疼痛管理など,主治医,外科医,麻酔科医,緩和医療科医,それぞれがかかわっていながら,気がついたら誰も必要な指示を出していなかったり,指示が重複してしまったり,という連携不足にはっとした経験はないだろうか。
特に鎮痛に関しては,オピオイドの種類,神経ブロックや放射線療法などの選択肢が増えている今だからこそ,手術の方針が決定した段階で,チーム医療の要である麻酔科医が主導して多科・多職種で治療のゴールを話し合い,周術期管理の着地点を見定められるようにしておきたい。
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