Topic
麻酔科医として温室効果ガスの排出削減に貢献しよう
水谷 光
1
Koh MIZUTANI
1
1千船病院 麻酔科・手術中材センター
pp.510-511
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202538
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麻酔科医が温室効果ガスgreenhouse gas(GHG)の排出削減に貢献できることをご存じだろうか。なぜなら,吸入麻酔薬は強力なGHGだからである。ほぼすべての医療施設はこの吸入麻酔薬の分解装置を備えていないので,余剰ガス排泄装置で集められた吸入麻酔薬は,そのまま大気に放出されている。
大気中のガスは,地球から宇宙空間に飛び出るはずの赤外線を吸収し反射することで温室効果をもたらす。地球温暖化係数global warming potential(GWP)とは,そのガスの温暖化の強さで,二酸化炭素(CO2)に対する比率つまりCO2の何倍かを示す1,2)。ガスによって大気中での寿命は異なるので,何年間の効果を勘定に入れるかによりGWPは変わる。例えばGWP20は,そのガスが大気に出た後20年間の温室効果を示す(表1)3)。セボフルランとデスフルランはGWPが高く,亜酸化窒素(N2O)は寿命が長い。N2OはGHGであるだけでなく,オゾン層を破壊して地上に到達する有害な紫外線を増やす1〜3)。
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