徹底分析シリーズ 声門上器具さいこう
わたしの声門上器具使用法—小児麻酔で使いこなすには
吉野 淳
1
Jun YOSHINO
1
1地域医療機能推進機構九州病院 麻酔科
pp.1179-1182
発行日 2022年12月1日
Published Date 2022/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202398
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
声門上器具との出会い
声門上器具に初めて触れたのは,研修医1年目の夏だったろうか。20年以上前の麻酔だが,かすかに記憶に残っている。髭の先生がスーパーバイズの日だった。乳腺外科の麻酔,次に眼科麻酔で使った。声門上器具といえばラリンジアルマスク クラシック一択の時代であり,自発呼吸で麻酔維持するのが型であった。麻酔維持はセボフルラン吸入と自発呼吸が消えないようにフェンタニルを分割静注していく。気管挿管での麻酔覚醒時は,バッキングが生じることがあり,眼科医はそれをみて顔をしかめる。ところが,ラリンジアルマスクで麻酔をして覚ますときには,まったくバッキングせずに穏やかに覚めるのである(そうでないこともたまにあるが)。声門上器具を使う前まで抜管は患者が苦しそうにしている中で,気管チューブを抜く医療行為であったが,ラリンジアルマスクの抜去は穏やかなのに驚いた。
しかし,反声門上器具派の話を聞くと,たしかに気管挿管ほどの確実性はなく,より確実な気道確保を求めると声門上器具という選択肢は自然に消えていくのかもしれない。ある時,血まみれのサイズ違いの声門上器具が麻酔カートの上に並んでいる現場を目撃したことがある。このように,声門上器具は諸刃の剣の一面をもつ。はまるとうまくいくのだが,下手をすると血まみれ,喉頭痙攣,術中換気不能に陥ったりと怖い目に遭遇する。声門上器具と出会ってからの23年を振り返りつつ,エビデンスを再考してみる。
Copyright © 2022, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.