徹底分析シリーズ 声門上器具さいこう
声門上器具は再考?—位置異常・声門閉鎖・誤嚥リスクを克服し,教科書をアップデートするために
駒澤 伸泰
1
Nobuyasu KOMASAWA
1
1大阪医科薬科大学医学部 医学教育センター 麻酔科学教室
pp.1172-1175
発行日 2022年12月1日
Published Date 2022/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202396
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多くの総説が気管挿管と声門上器具の違いを提示している。しかし,気道管理以外のスキルを見渡してみてもそうだが,初期開発段階を経てルーティン使用されるようになった技術は利点が欠点であり,欠点が利点であるといえる。すなわち,「器具の特性に対し,われわれがどのように活用できているか」が問われるのであり,われわれのエラーを欠点として声門上器具に押し付けるのは不適切かもしれない。さらに,声門上器具の使用法に関する研究や経験の蓄積により,その欠点の多くは克服され始めている。20年前は「声門上器具は短時間手術に限定」とする推奨が多かったが,現在の教科書からは手術時間に関する記載は減少している感がある。20年前の欠点はすでに欠点ではないかもしれず,いわゆる教科書における利点・欠点は書き換えられていくだろう。
声門上器具の発展とともに,麻酔科医としての前半生を歩んできた者として,自分の未熟さゆえの失敗とそれを乗り越えるための臨床研究からの学びを提示したい。
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