徹底分析シリーズ 一歩踏み込む搬送医療—患者搬送のサイエンスとアート
どのようにトリアージし,誰が搬送するのか—平時からのトレーニングが必要
池山 貴也
1
Takanari IKEYAMA
1
1あいち小児保健総合医療センター 小児救命救急センター
pp.656-658
発行日 2022年7月1日
Published Date 2022/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202287
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とある地域の高次医療施設で後期研修中のA先生は,今月から集中治療室をローテートすることとなった。今日は日曜日で,指導医と二人でのICU当直である。ところが,指導医は体調不良で「5分だけ」と言って自分の病院PHSをA先生に預け,トイレにこもってしまった。ちょうどその時,同じ地域の市民病院から,敗血症性ショックの転院依頼の電話がかかってきた。患者は40代で呼吸器条件が高く,ノルアドレナリンやアドレナリンも高用量で使用しているという。
A先生は想像力豊かで,特に困難な状況を想像するのがとても好きだ。今は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)なども落ち着いてICUのベッドに余裕があるが,COVID-19パンデミックのようなICUベッドが不足している状況であったとしたらどうしたらよいのか,また,だいぶ重症そうなこの患者の搬送に自分が行けるのか,トイレから戻ってきた指導医にいろいろ質問したいことが湧いてきた。
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