はへほの書評
麻酔への知的アプローチ 第11版
毎日がSonntag
pp.423
発行日 2021年4月1日
Published Date 2021/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201962
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- 文献概要
「知的」アプローチを「血的」かつ「痴的」観点から紹介する
屠蘇をコンビニの安酒で済ませたせいか,あるいは「密」を避けるため初詣に行かなかった罰が当たったのかわからないが,新年早々に難題を抱えることとなった。何を血迷ったか,さほど親しくもないLiSA編集長に時候の挨拶メールを送ったのがそもそもの間違いである。昨年末に出版されたばかりの本の批評文を書かされることになった。
麻酔科医なら知らぬ者の無い(もしあなたがその名を知らないとしたら,それはそれでおめでたいことである)稲田英一先生の『麻酔への知的アプローチ』である。初版から30年,第11版を数えるベストセラー,麻酔科医のマストアイテムといえる書物に,今更批評などがいるのだろうか? 著者の薫陶を受けた教授が全国に星の数ほどいるだろうに,場末の一麻酔科医に過ぎない評者に依頼するとは,編集部の思惑が窺われる。それでなくともコロナ感染爆発で気の休まらない時に,北陸の家々に降り積もる雪のような重荷を背負ったわけである。長時間作用型筋弛緩薬を投与して,Macintosh型喉頭鏡を口の中に突っ込んだら Cormack 分類 grade 4 だった時に匹敵する後悔であるが,スガマデクスがあるのが当たり前の環境で育った過保護な麻酔科医には想像もつかないだろう。
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